高野秀行『間違う力』をバイブルに

少し前、長らく書かせてもらっているキャリアサプリというウェブメディアで、「間違ってこそ人生は面白くなる!ノンフィクション作家・高野秀行に学ぶ「天職」との出会い方」という記事を書きました。

高野秀行さんというノンフィクション作家の方の『間違う力』という本を紹介した記事なのですが、とにかく「間違いない人生」を送る生き方とは真逆の話が書いていて、非常に学ぶところが多い本でした。

目次は以下の通り。

もくじ
はじめに(新書版まえがき含む)

第1条 他人のやらないことは無意味でもやる
私はとても普通の人だから/「無意味な過激さ」に学んだこと/コンゴで謎の怪獣を探してスタートラインにつく

第2条 長期スパンで物事を考えない
就職しないで生きる方法を探す/タイの「キリギリス社会」で悟ったこと/「万物は流転する」のだから長期スパンで考えない

第3条 合理的に奇跡を狙う
夢やロマンは捨てる/メジャーを捨ててマイナーを狙う/奇跡の確率は自分であげられる/奇跡に限りなく近づくために

第4条 他人の非常識な言い分を聞く
自分の好みをあえてはずす/新しい知見は非常識からやってくる/霊能者の驚くべき論理

第5条 身近にあるものを無理やりでも利用する
自分の都合のいいように世界を利用する/自分の弱点を活用する/立っているモノなら知り合いも利用する

第6条 怪しい人にはついていく
怪しい「自称マレーシア人」についていき一文無し/怪しい美女の誘いに乗り命を狙われる?/それでも怪しい人についていって運がひらける

第7条 過ぎたるは及ばざるよりずっといい
デタラメでもやった者がえらい/ラジオ体操をやりすぎた高橋さん/目的を忘れたような壮大な寄り道が意外な成果をもたらした/「やりすぎ」からアイデンティティが生まれる

第8条 楽をするためには努力を惜しまない
努力じゃなくて工夫をしよう/リーダーはラクである/ラクする者の栄光と孤独 われにアリ

第9条 奇襲に頼る
才能がない者の闘い方/奇襲はメリットが多いが、リスクも高い/奇襲は王道にかなわない?/自分自身を掘れば武器が見つかる

第10条 一流より二流をめざす
一流の素材より二流のプロ/腰が軽ければ軽いほど面白くなる/イイカゲンでも「今、はじめる」ことが大事/一流じゃなくても生き残る道はある/悩みの森は必ず通るけれど、抜け道は必ずある/「長くやる」と道がひらける瞬間がある

おわりに
新書版あとがき
引用:KADOKAWA

僕はこの本を読んでから「人生を面白おかしく生きていきたいなら、間違う力を身に付けておくべきだな」と思うようになりました。

実を言うとこれまでの僕の人生は基本的には「いい子ちゃん」としての人生でした。

できるだけ間違わないように、堅実で普通の人生を送ろうと力を尽くしてきました。当然「間違う」こともありましたが、基本的には優等生でした。

それが少し王道、正道からズレたのが社会人1年目でうつ病に罹患して会社を辞めたり、2社目の会社も続かずに辞めてニートをやったり、その後「フリーランス」という王道とは程遠い働き方をするようになったりしてからです。

しかしそれでも高野さんのいう「間違う力」は、偏差値3くらいしかありません。高野さんのように、もっとわけのわからない(褒め言葉)方向に突き進んでいきたい。

それこそが差別化になるし、自分自身も楽しめるはずです。『間違う力』や高野さんの著作をバイブルとして、自分なりの「間違う力」を身に付けていきたいです。

今時の大学生は「間違わない」

先日、2011年に卒業した高知大学に、毎年恒例の特別講義に行ってきました。

毎年生徒は変わるので一概には言えないのですが、彼らには高野さん流の「間違う力」が圧倒的に不足していると感じました。

というのも毎年僕を呼んでくれる先生から、「今年の4年生の半分以上が公務員に内定が決まっている。『どうして公務員になるの?』と聞くと、即答で『安定しているから』と返ってくる。今の子たちは安定志向がとにかく強いよ」という話を聞いたのと、授業後の感想にも「安定こそが大事だと思っていた」と書いている生徒が何人かいたからです。

なるほど、確かに安定は大事です。でも果たして「公務員=安定」という発想は絶対的に正しいのでしょうか。

僕は「大企業=安定」「就職=安定」という図式も含めて、これらは必ずしも正しいとは言えないと思っています。理由は3つあります。

第一に、とっくの昔に日本の企業から終身雇用という慣習が消え去っているからです。就職しても転職するのが当たり前、大企業に入っても同様です。

第二に、どんな形で働いていても様々な要因で「うつ病」などの病気にかかる可能性があるからです。僕自身、ブックオフで正社員と働いているときは仕事自体に不満はありませんでした。

むしろかなり楽しかったとさえ言えます。しかしプライベートが原因でうつ病にかかり、その仕事を辞めざるを得ないところまで行ってしまいました。

第三に、最近出版されたビジネス啓発本の中で「安定志向の人材になるようすすめる本」が皆無だからです。むしろそんな人材は会社のお荷物となり、経営が悪化すると真っ先に切られる存在として描かれています。

会社に就職しても、結局は不安定な中で成長していくしかないのが今の時代です。「のらりくらり定年まで働いて、退職金をもらって」という生き方が許される場所は、ほとんど残っていません。

インターネットが普及し、社会の変化の流れがとんでもない速さになっているなかで、ぼんやり「安定したい」などと言っていたら、あっという間に置いて行かれます。

置いて行かれた先にあるのが、「収入的にも精神的にも不安定な生活」である可能性は十分あります。つまり今の時代における「安定志向」は逆説的に「不安定志向」とさえ言えるわけです。

だからこれからの時代を生きていく世代は、「安定したい」というヒトとしての本能を抱きつつも、「不安定」の中に身を投じる勇気が必要なのだと、僕は思います。

そしてそこで武器になるのが、高野さんの「間違う力」だと思うのです。

「正しさ」の権威に騙されずに、「間違い」の価値を見据えて、できる限りわけのわからない方向に歩いていきたいものです。

来週から講義録をアップしようと思います

先ほど高知大学で講義をしてきたと書きましたが、今年はブログのネタにしようと思って講義を録音してきました。録音時間が1時間15分ほどあるので、2〜3回に分けて講義録を投稿しようと思います。

テーマは「大学時代の鈴木はどんな学生?」「好きなことが仕事になる仕組み」「大学での勉強が社会でのサバイバルツールになる理由」あたりです。興味のある方はぜひ読んでみてくださいまし。