作ってみたい、けど勇気が出ない

僕は服が好きです。一気にたくさん買うほどお金はないので、今までコツコツ買いためてきました。

その中には手放したものもたくさんあるし、中には高校2年から履いているデニムもあります。

それくらい服が好きなので、これまでに何度か「自分でも作ってみたい」と思うことがありました。

しかし僕の裁縫スキルは壊滅的で、小学校の家庭科の時間も全然楽しめませんでした。

玉結びも玉止めもろくにできず、ミシンを縫えばなぜか蛇行し、知らない間に縫わなくていいところまで縫ってしまう……。

さらにはハサミの扱いも下手で、まっすぐ切れた試しがありません。

こんな調子なので、「自分の手で服を作ってみたい」と思っても、なかなか勇気が出ませんでした。

それに「自分の手で服を作るくらいなら、好みの服をネットで探した方がコストパフォーマンスが良いだろう」とも思ってきました。

「作る」という過程を目的化せよ

しかし最近になって、先日紹介したmittanというブランドや、マニアックなズボンばかり作っているTUKIというブランドに出会って、またこの「自分でも作ってみたい」欲が再燃。

「やってみたい、でも(失敗するのが)怖い」という葛藤がしばらく続きました。

ところが今回は挑戦することができたのです。その要因としては以下の2つが挙げられます。

1.筋トレが自信になった

僕はここ4年ほど筋トレをしていますが、最初は自重のスクワットでもしんどかったし、腕の筋トレも2kgの鉄の棒だけでやっていました。

それが今では片足スクワットが左右10回×2セットできるようになりましたし、腕の筋トレも片腕12kgとかで行うようになっています。

逆立ちをして腕立てができるし、懸垂も楽々できます。

できないことも積み上げていけば、必ずできるようになる。

人口に膾炙した文句ですが、僕はそれを基本的に自分一人で成し遂げた。

「自分のペースでやっていいならなんとかなるはず」という自信を持つには十分です。

その結果裁縫に関しても「最初はできなくて当たり前だ。とにもかくにもやってみよう」と思えたのです。

2.「作る」という過程そのものを目的化した

以前までの僕は服を作ろうと思った時に「作った服を着る」をゴールに想定していました。

そうすると手間暇かけて服を作るのはあまりにも遠回りに思えますし、その過程が非常に険しく見えてしまいます。

しかし今回の僕は違います。「着る」という結果ではなく「作る」という過程を楽しむことにフォーカスしたのです。

すると途中の失敗や苦労も大した問題にはならず、コツコツと作業を積み重ねようという気になれたのです。

またここにも筋トレが大いに影響しています。

僕にとっての筋トレはまさに過程を楽しむものです。手っ取り早く筋肉をつけたいなら、パーソナルトレーナーにお金を支払うべきです。

素人考えでああでもこうでもないとやっているようでは、遠回りしてしまうからです。

しかし僕にとっての筋トレの目的は、筋トレそのものです。

色々な情報を仕入れて、自分の頭で考え、自分の体で試し、試行錯誤を繰り返すこと自体に僕にとっての筋トレの意義があるわけです。

「裁縫もそれと同じだと考えればいい」と気付いた時、僕はYahoo!ショッピングで生地を発注していました。

まずは足がかりを作ろう

生地とは別にamazonで「メンズのズボン」「ワンピース」「カバン」の作り方を説明した本を買いました。

それらをパラパラと眺め、購入した生地で作ってみようと思ったのは、自分のためのズボンでした。

しかし玉結び・玉止めさえ満足にできない僕にとって、amazonで買った本は哲学書よりも何を書いているかわかりません。

わかったのは、「付属の型紙を別紙に写しとり、それを布に転写して、生地を切る」くらいです。

あとの説明は写真付き解説を読んでも「????」でした。

「まあとりあえず、型紙を写してみるか」と思い、やり方をネットで検索します……。するとどうやらかなりめんどくさそうなのです。

「うう、やっぱりカバンにしとこうかなあ」とミシンを使って何度か作ったことのある簡単なカバンにしようかと迷いました。

参ったなあと思いながら、ネットをさまよっていると「型紙ないなら、今着てる服を布に当ててパターン引いちゃえ!」と書いている個人のブログを発見します。

「これだ!」と思いました。

本来こういうことは、まず最初にちゃんとしたやり方を身につけて、そのあと応用を覚えていくのがまっとうなやり方なのでしょう。

しかし得てして基礎は辛くてつまらないものです。そこで挫折して、楽しさを知らないというのはもったいない話ではないでしょうか。

まずはテキトーでもいいからやってみる。

それで失敗したら基礎の大切さがわかるし、そこそこうまくいっても「ちゃんとするにはどうしたらいいんだろう?」となれば基礎に戻らざるを得ません。

でもそこで基礎に戻れば、結果のイメージがしやすくなっているので、一から基礎をやるよりも楽しくなります。

そうしてのめりこんでいければ、一から基礎を初めて挫折するより何倍も有意義です。

玉止めできない初心者がズボン作った結果w

その結果がこちらです。なんというか、履けます

型はとても気に入っているTUKIというブランドの「karate pants」というモデルから、かなり大雑把にとりました。

オリジナルのシルエットはもっと美しいのですが、まあ初心者の割にはそれなりの見栄えのような気がします。

ウエストはファスナーやボタンなどの難しそうなパーツは避け、karate pantsを真似して道着のような紐タイプにしました。

紐はちょっと工夫して、生地を細く裂いて三つ編みにしたものを使っています。

糸を通す部分のうち、背中部分は縫製せず、ウエストにゆとりが出るようにしました。

出来上がり寸法のウエストはやや細めになってしまいましたが、この構造のおかげで着脱が簡単になっています。

ポケットはよく考えずに作ったので、無駄にセパレート仕様になっています。あとちょっとサイズが小さいです。

でもこのサイズのポケットがこの位置についているズボンってあんまりないので、デザインとしては気に入っています。

股上を浅く設定しすぎたのか、仮止め段階で「あれ?これ股きつくない?」と思ったので、急造でガゼットクロッチ(股布)をつけてみました。

着心地はかなり楽になりましたが、急造ゆえに見た目がアレなのと、パターンが変わったことによるシルエットの悪化が見られます。

ちょっとウ○コを漏らしたみたいです(下品

生地はコットンタイプライターというハリのある生地に洗いをかけたもので、ツルツルしていて気持ちいいです。これは僕の功績ではありませんが……。

とまあ概ねこんな感じに仕上がりました。初めてで、右も左もほとんどわからず走り出したにしては上出来のように思います。

もちろんご覧の通り、明らかに縫製は雑だし、シルエットもイビツだしで完成度は低いです。でも正直服に興味のない人の前なら、黙って履いていれば何も気づかれないレベルではあると思います。

そして何より作る過程がものすごく楽しく、夢中で作業に打ち込めたので、またやりたいと思えたことが最大の収穫でした。

次はこんなふうに

今回がものすごく楽しかったので、すでにまた何か作りたくなっています。

候補は母から分けてもらったリネン100%の生地で作るワンピース、別で購入したモールスキンという生地で作るショルダーバッグ、おまけでもらった薄手のデニム生地で作るリラックスショートパンツなどなど……。

色々ありますが、近いうちにロングパンツの改良版にも挑戦したいです。今考えている改良版のアイディアは以下の通りです。

・ウエストの仕様と丈の長さは気に入ったので、今回のモデルを引き継ぐ。

・ウエストサイズはもう少し大きく設定したい。

・股上はガゼットクロッチが必要ない程度に設定したい。

・太ももから下はもう少し太い方がいいので、TUKIのハイバックパンツというモデルから引用したい。

・ポケットはもっと大容量の主張が強いものにしたいので、フランス軍のカーゴパンツM47のカーゴポケットを引用したい(難しそう)。

・このポケットがあれば後ろポケットは必要ないので、見た目を洗練させる意味でも後ろポケットは廃止する。

「好きな服」は手元にたくさんあるので、それらの「好きなところ」ばかり集めたズボンにできればなと思っています。

さてさて、洋裁は僕にとって「趣味」と言えるくらいのものになるんでしょうか。とりあえず、楽しんでみます。