文章を書いたり、筋トレしたり、自転車漕いだり、山登ったり、基本はひとり。

文藝部

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「間違う力」を身に付けたい。

高野秀行『間違う力』をバイブルに 少し前、長らく書かせてもらっているキャリアサプリというウェブメディアで、「間違ってこそ人生は面白くなる!ノンフィクション作家・高野秀行に学ぶ「天職」との出会い方」という記事を書きました。 高野秀行さんというノンフィクション作家の方の『間違う力』と…

2か月、「書きたいこと」が出てこなかった。

2月頭の「おっぱい」の記事以降、何度も何度もブログを書こうとは思ってはいるのだけど、きちんと文章にしたいと思えるようなことが一向に出てこない。 「あ、これ書きたい」と思っても、いざ書き始めると文章の体をなさない。多分、アウトプットばかりでインプットが少ないからだろう。 山にも行け…

「巨乳が正義」というイデオロギー 〜『巨乳の誕生』で面白かったところまとめてみた〜 その3

敗戦とおっぱい 戦前の日本において性表現は禁止されていた。「欲しがりません、勝つまでは」の精神を説いているところに、エロが入り込む余地はない。当然水面下ではたんまり性的なものはあったはずだが、表立ってやれば「憲兵さんこっちです!」となった。そんな時代にはもちろん「巨乳」の「き」の…

「巨乳が正義」というイデオロギー 〜『巨乳の誕生』で面白かったところまとめてみた〜 その2

OPPAI CHRONICLE 現代の男性たちにとって「巨乳」は「エロい」と思っていいものだし、それを「好き」だと言ってもいいものなわけだが、時代を思い切りさかのぼって「おっぱい」を見てみると、そこには驚くべき「常識」がある。部分的にではあるが(おっぱいの歴史は深く、長い)、おっ…

「巨乳が正義」というイデオロギー 〜『巨乳の誕生』で面白かったところまとめてみた〜 その1

先日『巨乳の誕生 大きなおっぱいはどう呼ばれてきたのか』というとんでもないタイトルの本を読んだ。しかもタイトルはとんでもないが、内容はめちゃくちゃ真面目で、非常に興味深い内容が数多く見られた。 人によってはこの記事に対して「セクハラだ」「書いたやつ死ね」とか思う人もいるだろう。し…

『岸田アパート物語』12号室

しばらく誰も話さずに、テレビの音だけが流れていた。ここ一年ほどで一気にトップアイドルグループにまでのし上がったYSP(やきそばパン)48のメンバーの一人が、芸人に囲まれて何を話せばいいのかわからないと言った表情を隠しきれずに、とりあえずの笑顔を浮かべている。 私がこのアパートに気…

『岸田アパート物語』11号室

彼女は郷田に自分が今何に思い悩み、そのために今のようなありさまになってしまったのだ、ということを話した。 「そうしたらね、彼はこう言ったの。そんなもん山のものを食えば気にならなくなる。それに俺は死なない、って」 「それは、全然意味がわかりませんな」 ふふふ、と香織嬢は笑った。 「…

『岸田アパート物語』10号室

私は巻かれた糸を素早く引き、見事我が家のフローリングの上でベイゴマを回すことに成功した。ベイゴマは絶妙なバランスを保ち、静かに回っている。私と男たちはそれを静かに見守っている。今がチャンスだ、私はそう思った。男たちが気を取られている間をスルスルと抜け、私は下宿から逃げ出す。ベイゴ…

『岸田アパート物語』9号室

私は無性に腹が立ち、そのあとカツカレーのLをたいらげた。途中喉に詰まって死にそうになったが、こんなところで死んでなるものかと水で流しこみ、再びかきこんだ。それでもまだ屹立した腹がおさまらない。私は肩を怒らせて食堂を出る。 食堂のある建物の前では、真冬だというのにダンスサークルの学…

『岸田アパート物語』8号室

それから三〇分ほどして、過ぎ去った十一時よりも零時が近くなった頃、里美ちゃんが、 「明日一限あるので帰ります」 と言ったので、当然のごとく一番年少の森野が送っていくことになった。今日この二人は殆んど半日一緒にいたのではないだろうか、喜ばしいことである。里美ちゃんは別れのあいさつを…