均整のとれたものが好きだ。

心の平静を保つために『ルーヴル美術館 収蔵絵画のすべて』を眺めたり、敬愛する写真家アンリ・カルティエ・ブレッソンの写真集を眺めたりするくらいには。

逆に言えば、スジの通らないこと、チグハグなことをみると、具合が悪くなる。イライラするし、呼吸が浅くなって、ぐるぐるぐると目眩がする。比喩ではなく、実際そうなる。

二等辺三角形や直角三角形よりも正三角形が好きだし、長方形よりも正方形が好きだ。正四面体とか立方体になると、立体であることもあってずっと見ていられる。マジで好き。

だからこの立方体の岩の塊を見た時は、頭の中が好きでいっぱいになった。

詳しい説明はこの素晴らしい物体を考案した南船場の老舗セレクトショップwalls&bridge の文章に譲るとして、ここでは僕の偏愛ポイントについてしゃべくりたいと思う。

まず立方体というのは、僕にとって完璧な図形である。全方向、鉄壁の均整。数学的なことはさっぱりわかってないが、完全無欠の感じがする。だからサイコロも好きだし、立方体のアクセサリーなどを見つけると「うわあーーー!ほっしーーーー!」と思ってしまう(使いにくいので買ったことはないけど)。

だからもう、この岩は、立方体というだけで最高だ。立方体という圧倒的に美しいものを枠組みに選んだ時点で存在として成功している。

そして立方体という無敵の図形を、大谷石という粗野な鉱物に当てはめたこと。これが今回の優勝の決定打であります。

いかにも自然然としたテクスチャーの大谷石。それがあまりに不自然に均整のとれた立方体として在る。ちぐはぐでありながら、完璧に噛み合っている感のある、マジで痺れるこのディレクション。イエス、アルス・コンビナトリア!(多分使い方間違ってる)

なんかもう、庭とかあるなら、植木の根元に無造作に置きたい。ど自然の中に、「わたしも自然ですけど?」みたいな顔して座っててほしい。「いやいやいや、そんな形の石、自然界にないやろ!」って突っ込まれてほしい。

ってな感じで大興奮して、買います!って言ったんだけど、その時はまだ値段がついてなくて、先日伺った際に手に入れることができたのでした。いやー、マジ、ずっと眺めてられるわあー、この立方体……。